配管周継手局部PWHTの適正加熱条件について＜均熱幅、加熱幅の規格間の比較と応力除去、じん性回復から見た適正条件の提言＞

摘要

溶接継手の健全性を高めるために、溶接後熱処理(PWHT)が行われる場合が多い。その目的は溶接で生じた残留応力の除去、急速冷却による硬くて脆い溶接金属及び溶接熱影響部の組織、機械的性質の改善が主である。 このようなPWHTの多くは、工場の炉内で全体あるいは分割しつつ加熱する方法が取られる。しかし、鋼構造物にはどうしても現地で溶接して組立てる箇所が存在する。 現地溶接部のPWHTは、現地で溶接部近傍を加熱する局部PWHTとならざるを得ない。 局部的な加熱はマクロ的に見ると溶接時の溶接部近傍のみの温度上昇と同じであり、溶接時と同じ原理で、除去した積りが新たに残留応力を生じる危険性がある。 これを防止するため、各規格では加熱条件を定めている。しかし、後述のように加熱条件は必ずしも規格間で一致せず、考え方まで異なったりする。 本編では、本書に関係の深い配管突合せ周継手に関し、適正PWHT条件の考え方、規格間の相違点等を紹介する。