アルミニウム合金押出形材のプレス曲げにおはるウイング式ダイの適用効果

摘要

本研究により，形材のプレス曲げにおけるウイング式ダイの適用効果について得られた知見をまとめると，以下のようになる。 （1）ウイング式ダイの回転支点の位置が形材支持面より上にある上支点型を用いると，マンドレルを用いなくても屈服の抑制が可能となり，形材の曲げ加工性を向上させる効果が局い。（2）上支点型を用いることで加工性を向上させ得るのは，形材のダイ上での摺動の向きが関与し，上支点型では形材-ダイ間の摩擦力が形材に対して軸引張側に作用するためであることを解析と実験の両面から明らかにした。 また，形材-ダイ間の摩擦係数がより大きくなるような材料を摺動面に用いることで，さらなる加工性の向上が期待できる。（3）上支点型のウイング式ダイは，形材に生じるすべり傷のような製品の外観を損ねる不良現象の抑制に効果的である。本研究を進めるに当たり，金型の設計製作および当初の実験には，当時，東京都立大学卒研生，渡辺紳一郎氏，岩田和明氏の協力を得た。 その後の実験には，当時，東京都立工業高等専門学校卒研生，古畑裕司氏，渡辺雄一郎氏，中村貴広氏，杉浦翔太氏の協力を得た。 論文の作成には，本校の廣井徹麿教授の助言を得た。 ここに感謝の意を表する。