無方向性電磁鋼板における究極鉄損の追求

摘要

今回,高純度原料を用いて，高純度無方向性電磁鋼板を試作した結見無方向性電磁銅板の高純度化によるヒステリシス損の低減分は50Hz，1.5Tで0.27W/kgとなった．これは微量成分の削減による析出物量の低減によるものと考えられる．現在の最高級無方向性電磁鋼板の35H210においてこの高純度化が実現できれば50Hz，1.5Tの鉄損は2.0W/kgから1.7W/kgまで低減できる可能性があることが示された．無方向性電磁鋼板の鉄損はこの高純化による析出物低減以外に，鋼板表面の{100}化や結晶粒界の最適化によっても低減できるので，これらが実現できれば1.0W/kgまで低減できる可能性がある．この高純度電磁鋼板を用いて，モータコアを試作し，ヒステリシス損の低減を調べたところ，高純度化によるモータのヒステリシス損の低減分は素材の改善率18％に対して，約20％となり，実際のモータでも確実に鉄損低減につながることが示された．以上より，モータにおいて究極鉄損を得るためには高純度化と集合組織のランダム{100}への制御が課題であるが，これらの実現には集合組織制御技術の向上が求められる．