サスペンションの一つの認識方法—濾過現象に関連して—

摘要

特集“濾過脱水·スラリー処理技術”において，長瀬らが担当する予定であった，“サスペンションレオロジーの基礎と最近の進歩”に，（その5）として，本稿を追加する．その理由は，サスペンションのレオロジーとして記述されている，既往の諸著書の内容が，実感として会得し難い，実体験と重なり難い，技術に結びつき難い，などの意見が多かったためである．このような技術との乖離を埋めようとして，本シリースでは，（その1）～（その4）まで記述してきた．しかし振り返って，なお，技術者の要求に対して不十分ではないか，と思われる．次項で述べるように，サスペンションを扱う工業分野は多いけれども，分野毎に，サスペンションの性伏，処理の手法，伴って評価基準が大幅に異なる．多様な評価の全てに対応できる程には，学問は進歩していない．