2020年の中期目標の諸課題と今後の地球温暖化対策の展望

摘要

日本の地球温暖化の中期目標は，現在，12月のコペンハーゲン会議（COP15／CMP5）に向けて交渉が進められている2013年以降の国際的な枠組みにおける，先進国の行動水準の一要素として重要な意味を看している．これについて，2009年6月に麻生太郎前首相が発表した「2020年に2005年比15％削減（1990年比8％削減）」の目標は，まさにコペンハトゲンに向けた交渉のために日本の考えを示したものであったが，その内容は，科学的な観点，国際的な衡平性（equity）の観点，国内の低炭素経済づくりの観点から，日本社会の展望として望ましいとは言い難い選択をしたものであり，また，その策定プロセスも，恣意的な議論誘導の末に結果が導かれたと判断せざるを得ないことが多分にあった．政策形成における真に意味のある市民参加とは何なのかを考えさせられることも多かった．