Mislow－Evans型［2，3］－シグマトロピー転位

摘要

Mislow-Evans転位とは，アリルスルホキシドが熟的条件によって［2，3］－シグマトロピー転位反応が進行し，生じるアリルスルフェン酸エステルをホスファイトや塩基などで処理することによって，アリルアルコールを与える反応である。一方，SharplessおよびReichは，硫黄の代わりにセレンを用いても同様の反応が進行することを見出した。すなわち，アリルセレニドを過酸化水素やmCPBAなどで酸化することによって生じるセレノキシドは，同様の転位反応が進行し，アリルアルコールを与える。この反応は立体特異的に進行するため，不斉点を持つセレニドは，その不斉点を炭素に転写することができる。