アルミニウム·フラックスレスろう付の雰囲気ガス最適化

摘要

近年は，上記従来ろう付法の課題克服や，新たに電子デバイス用冷却器などの熱交換器でフラックス残渣をなくしたい要望がある。そのため，フラックスを使用しない新しいろう付法が求められている。これまで，フラックスレスろう付としてAl-Si-Mg系ろう材を用いて常圧下のN_2ガス雰囲気中で行う面接合が検討され，ろう材に1.0mass%以上のMgを添加することで面接合が可能であることが確認されている。また，2.0mass%までのMg添加増加によって良好な接合状態となることが確認されている。接合が可能となった理由として，面接合環境は，閉鎖空間となっており，接合部材の表面酸化が抑制されたこと，溶融ろうの濡れ性を阻害する酸化皮膜（Al_2O_3）がMgと反応し，スピネル（MgAl_2O_4）化して分解したことにより，面接合が可能になったと考えられる。しかし，熱交換器には多様な接点が存在し，閉鎖空間以外の部分では，雰囲気が溶融ろうの濡れ性に大きく影響すると予測される。以上の背景から，本稿では開放部を有する接合モデルを用いて，雰囲気が溶融ろうの濡れ性にどのような影響を与えるかを検証し，さらに実用化に向けた検討を実施したので紹介する。