最近の特殊材料溶接－材料別溶接プロセスの選択と施工のポイント：チタンおよびチタン合金の溶接施工

摘要

チタンおよびチタン合金は比強度が高く，耐食性に優れ，加工性も良好であるため，熱交換器，自動車部品をはじめとする幅広い工業分野で用いられている。 ただし，加工性の中で特に溶接性については，鋼の溶接性と比べて留意すべき点が多い。 それは，チタンおよびチタン合金が高温で酸素，窒素等と結合しやすく，少量の酸素，窒素を吸収しても機械的特性が劣化することに起因する。 したがって，チタンは溶接雰囲気さえ充分に管理すれば容易に溶接可能である。それに対して数多くの種類があるチタン合金の中で，溶接性の良好なものとしては，たとえばTi-5Al-2.5Sn（α合金），Ti-6Al-4V（α+β合金）等に代表されるように数少ない。 これは，熱処理による強化を利用したチタン合金では溶接熱履歴を受けることにより，強度や靭性が低下するものがあるためである。 ここではチタンおよび溶接性の良好なチタン合金に各種溶接法を適用するときの留意点について事例を挙げて言及する。