超音波基礎：Lamb波を用いた塗膜形成過程の一評価法

摘要

塗料は、金属などの基板上に塗膜を形成することで、基板の保護や外観上の美観などといった多くの性能を付与することができる材料である。 近年、塗料用樹脂技術の高度化あるいは環境問題への強い関心から、多くの形態の塗料が開発されるようになった。 一般的に、塗料は液状で基板上に塗装され、水分や有機溶剤の蒸発などによって乾燥·硬化し、塗膜になるという一連の塗膜形成過程を経ることで性能を発揮する。 この塗膜性能を決定する主な要因としては、①塗装前における液状塗料が持つ特性②塗膜形成過程が挙げられ、塗料開発時においてこれらを評価することは必要不可欠である。本稿では、Lamb彼の伝搬に用いる金属板としてアルミニウム板についての検討を行った。 板厚によってLamb彼の伝搬挙動が異なることから、板厚の異なるアルミニウム板を2種類用意し、それぞれの板中を伝搬するLamb彼の伝搬モードについて検討した。 その上で、塗料の一例として水性スプレーを用いた塗膜形成過程の観測実験を行い、塗膜形成過程に対するLamb波の伝搬特性（振幅、位相）の変化について検討を行った。