SPring-8における分光型光電子·低エネルギー電子顕微鏡装置の導入と軟X線を利用した立ち上げ実験

摘要

ナノテクノロジーはナノ物質やデバイスを創製する技術である。 21世紀に最も重要な技術として，世界各国は高性能の電子顕微鏡を始め最先端技術の粋を極めた装置を集結させて研究を行っている。 大型放射光施設SPring-8は平成14年度から始まった文科省「ナノテクノロジー総合支援プロジェクト」の支援によって，分光型光電子·低エネルギー電子顕微鏡（SPELEEM）を導入した。SPELEEMは試料表面から反射或いは放出された電子を対物レンズで取り込み，拡大して直接検出器に結像する投影型電子顕微鏡である。 低エネルギー電子顕微鏡LEEM（Low Energy Electron Microscope）として使う場合，低速電子に由来する表面敏感性とリアルタイム観察が可能な点は大きな特徴であり，表面分野における結晶成長過程，相転移，吸着拡散，化学反応などの研究に活躍している。