在庫補充効果で石油受入量2.5％減下期は原油安と在庫調整で大幅減か

摘要

九電力が18年度上期に消費した石油は重油換算550万kl台にとどまり，前年同期を100万kl（15％）近く下回った。 このうち約3分の2は火力発電量の減少分，約3分の1が非石油燃料の消費増によるもの。 上期の火力発電量は2,180億kWh強で前年を1.5％（34億kWh，重油消費量換算72万kl）下回った。 電力需要（発受電電力量）は1.5％（71億kWh）伸びたが，豊水に恵まれた水力発電量が渇水との比較で前年を10.2％（38億kWh）も上回ったのをはじめ，トラブル停止の減少と新規参入効果によって原子力発電量が3.3％（46億kWh）増えたほか，他社受電も水力と原子力の反動増で1.8％（14億kWh）増えるなど，火力の出番を奪う要因が重なった。 原子力発電量を利用する揚水用電力も8.2％（6億kWh）減って，火力を減少させた。 非石油燃料の消費量は重油換算4,390万klと試算され，前年を1％（27万kl）近く上回った。 石炭と天然ガスを除いて前年を上回った。 石炭は1.4％，天然ガスは21.1％の前年割れに終わったが，LNGが1.8％増へ盛り返したほか，LPGが30.3％，コークス炉ガスが2.9％，都市ガスが2.0％それぞれ増えた。 この結果，石油に回ってきた消費規模は558万klで，前年の85％へ99万kl後退した。 しかし，期中に石油在庫が100万kl以上積み増されたことから，上期の石油受入れ量は消費量を大幅に上回る687万klとなり，前年に対するマイナスは2.5％（17万kl）で済んだ。 原油相場の大幅な調整で始まった下期は，まずこの高値在庫の消化が必要になることから，石油需要は再び大幅減の憂き目に遭いそうだ。