高い位置づけを得た天然ガス2030年目標へ向け船出元年の年

摘要

昨年も都市ガス業界は各種新製品の開発やガス料金の改定，新潟県中越地震による緊急出動など様々な出来事があったが，最も特筆されるのは総合資源エネルギー調査会の需給部会が3年ぶりに中間とりまとめを行い，「2030年のエネルギー需給展望」の中で天然ガス利用の拡大と分散型エネルギーの活用を大幅に打ち出したことだろう。 天然ガスの利用拡大では分散型エネルギーの活用と相俟って電力よりむしろ都市ガスへの期待が大きく，様々なシナリオが示された中で，標準ケースだとわが国の一次エネルギーに占める割合を現行の13％から2030年には約18％と原子力，新エネルギーとともに極めて高い伸びを見込んでいる。 量の面では2000年度の原油換算供給量7,900万ｋｌに対して，2030年度は1億800万ｋｌと36.7％の伸びだ。 これに都市ガス業界は，安西邦夫日本ガス協会会長（東京ガス会長）が「画期的なもの」「21世紀は天然ガスの時代」と歓迎のコメントを出す一方，「わが国における天然ガスは今回示された以上に大きな導入ポテンシャルを有している」と見通し以上に需要拡大に自信を示した。 実際，今回の需給見通しが地球温暖化対策を中心に据え，経済成長率を低く見積もっているとはいえ，90～2000年度のわが国の天然ガス供給量が原油換算で5,300万ｋｌから7,900万ｋｌへと10年で約50％の伸びをみせたことを考えれば，量の面での今後の四半世紀の見通しはいかにも低すぎるように思えるのだ。 業界は今年，その需給見通し達成への船出元年ともいうべき年となるが，早くも2月には東京ガスが世界初の家庭用燃料電池コージェネを市場投入する予定でいるなど景気のいい話には事欠かない。