第4四半期の石油需給逼迫懸念で再び55ドル台へ急騰したWI市況

摘要

原油市況がまたまた急騰した。 6月3日のWTlのNYMEX期近先物終値は55．03ドル／と4月22日以来，約40日ぶりに55ドル突破となった。 4月22日に55．39ドルまで上げたWTlは，5月20日には46．80ドルと8．59ドルも下げた。 しかし，このままズルズルと安値が続く道理がないことをこの間も記者は本誌で指摘してきた。 何よりも決定的なのが原油生産能力の不足。 現行原油生産量は既にほぼ3，000万／日に達しており，生産余力（余剰生産能力）は最早150万／日しかない。 短期間に原油生産能力が増加する見通しはまるでない。 イラクの状況は深刻化するばかりだし，北海·ロシアの生産能力は世界の原油生産能力が増加するよりも先に減少を始める可能性が大だ。 それでも需要が低迷するというなら話は別だが，これが昨年の急増のために伸び率は低下してもマイナスになる見込みなどない。 石油需給そのものが引き続きタイトなのである。 もう一つの生産能力不足というと精製能力不足。 石油製品需要量の方が精製能力を上回っているのである。 何度も指摘するように米国と中国がその端的な例。 原油高と経済成長の鈍化により一時は石油需要が低迷するかにみえ，それが原油相場を引き下げはしたのだが，どうも需要はまだまだ大幅に伸びるようだ。 このままでは今後夏場を迎え更に増加するガソリン需要や第4四半期のヒーティングオイル在庫の積み上げはどうなるのだ。 そんな懸念が市場を支配し始めたのだ。いやいや，そればかりか今年はハリケーンの当たり年との予報まで示された。一気に58ドル台急騰だ。