10社分は1.8％減，震災前の89.7％新電力34.4％増，高圧22年の2.8倍

摘要

九電力の供給区域で九電力と薪電力が供給した電力量（発受電電力量）は，8月分が0.9％増と12月分以来となるプラスを取り戻した。いうまでもなく，全国を襲った記録的な猛暑で冷房需要が増えたためだ。しかし，1％にも届かなかった小さな伸びは猛暑の実感と結びつかず，意外感を通り越した微増だった。平年並みの暑さに終わっていたなら，間違いなくマイナスだった。早くも来年8月のマイナスが約束された可能性がある。電気事業連合会が9月11日に発表した10電力分の発受電量は0.9％減とマイナスに終わった。記録的な猛暑でもプラスに戻れないほど，新電力への移行が進んでいる証であろう。何度でもいおう。電力需要濃模のこうしたスパイラル的な縮小傾向は，既に疑う余地がなく，今後も続く公算が大きいのである。来年4月から家庭用までを対象にした電力小売の完全自由化が始まるため，商機を期待して素人に近い新電力事業者が殺到している。需要規模が縮小している状態で始まる完全自由化は，需要家を迷惑なトラブルに巻き込む懸念がある。この9月に発足した電力取引監視等委員会は，そうした混乱を未然に防ぐことができるのであろうか。このほど，4～6月中の用途別の電力需要量が10電力会社別，新電力会社別に出揃ったのを機会に，実績の集計と前年同期，震災前の22年同期との比較を試算し，スパイラル的に縮小している電力需要の中身や，新電力へ移行している用途などを振り返ってみた。