新·新任切迫る中，仕切連騰止む大幅底上げなるのか産燃油市況

摘要

原油市況は，年明け後の2月後半からジリ高基調が続き，ドバイ原油市況（東京市場終値）は3月を75ドル／バーレル超の高水準で推移し，続く4月は連日80ドル／バーレルを上回って月末は86.0ドル／バーレルの月間最高値で終えた。しかし，5月に入るとギリシャの財政危機を背景にユーロ安が進み，アメリカの原油在庫増などもあって原油市況は急落，7日のドバイ原油は3月末以来となる80ドル／バーレル割れを記録した。原油市況反落を受けてゴールデンウィーク明けのTOCOM先物価格は反落し，国内スポット市況も後を追った。石油製品市況を占う指標価格が4月末をピークに軒並み調整局面入りして，2月末からほぼ一貫して値上げが続いていた各元売の週決め仕切も，出光の5月15日からの週がついに全油種で値下がりに転じた。石油製品末端市場は週決め仕切が連騰する中で転嫁値上げに追われ，製油所定修シーズン入りが後押しとなってリテール向けでは値上がりが続いた結果，3月以降の上げ幅累計がガソリンで10円／lを超えたが，納期1カ月以上の契約が多い産業用燃料油は急激なコスト上昇に値取りが追いつけず，4月に続いて5月納め価格も3円／l超の値上げが必要な状況で，逆ザヤとなった新年度分官公需価格も5月以降分で大幅値上げ交渉を強いられている。6月からは，コスモに続いてJX日鉱日石エネルギーも現行水準より大幅な底上げとなる新·新仕切を導入するが，その転嫁値上げも迫っている。