供給構造高度化小委員会本格作動（上）＝特定エネルギー供給事業者からヒアリング＝

摘要

総合資源エネルギー調査会総合部会平成22年度第1回供給構造高度化委員会の会合が8月12日，経済産業省内会議室で開かれた。この小委員会は昨年7月1日に参議院本会議で成立したエネルギー2法（施行は8月28日），エネルギー供給構造高度化法と改正省エネルギー法（非化石エネルギー法）に基づく政策展開の基本方針や判断基準など具体的制度設計を図るために，総合部会の下に設置されたもの。この小委員会の本当の第1国会合は平成21年8月3日に行われた。ところが，その後政権交代によって鳩山民主党政権が誕生し，加えて鳩山首相により「CO2の1990年比25％削減」が打ち出されたことによって，エネルギー政策の一定の見直しが必要となっていた。しかも，「エネルギー基本計画」の見直し時期も迫っており，前回の「基本計画」策定時に比べて内外エネルギー情勢もまた大きく変化した。改定版「エネルギー基本計画」は，本誌で3回に分けて連載·解説してきたが，ここでは各種施策を総動員して環境政策·産業を牽引者とする新成長戦略を描き，併せてエネルギーセキュリティ問題の可能な限りの追求を行った結果，「CO2の1990年比30％」を打ち出した。したがって，これらに沿った形での制度設計が必要となったもので，いわば今回は仕切り直しの平成22年度第1回「高度化小委員会」となった。ただ，既にこの小委員会の昨年8月の議論を受けて「太陽光発電の余剰電力買取制度」は昨年11月から開始されたほか，「再生可能エネルギーの全量買取に関するプロジェクトチーム」を立ち上げ，太陽光以外の再生可能エネルギーも含む買取制度の構築に向けた検討を行い，7月23日に「制度の大枠」については発表されている。また，「原油等の有効利用のための石油精製業者の判断の基準」である「重質油分解能力等の判断基準」は7月5日に制定された。現在は10月31日を期限に精製業者に「トッパー能力の13％の重質油分解能力のクリア」などの計画の提出を求めている。したがって，この小委員会で検討していくことは「供給構造の高度化に向けた電気事業者の取組み」，「特定規模電気事業者（PPS）のゼロエミッション電源に関する取経み」，バイオガス·バイオ燃料を主体とする「エネルギー供給構造高度化に向けた都市ガス業界の取組み」，「石油業界のバイオ燃料への取組み」ということになり，8月12日の小委員会ではこれらの業界からのヒアリングとそれに基づく討議が行われた。