原油高勝と在庫評価の影響で大幅増収増益

摘要

民族系元売5社（新日本石油，出光興産，コスモ石油，九州石油，新日鉱ホールディングス＝ジャパンエナジーグループ）の平成17年3月期（16年度）中間決算が先頃発表された。 夏場の猛暑によるガソリン需要の増加と，原油価格の高騰による販売単価の上昇に加え，在庫評価方法の総平均法採用により，見かけ上の利益は大きく膨らみ，単体決算，連結決算とも在庫評価法が違う出光を除いて，大幅増収増益となった。 産業用中間留分の転嫁未達や製油所事故による装置不具合，前期の電力C重油特需の反動減といったマイナス要素も少なくなかったが，原油価格の高騰局面で総平均法の特徴が最大限に発揮された決算となった。 各社の連結中間利益は，新日石が前年同期比4.7倍増の580億円，コスモが48％増の41億円，新日鉱ホールディングスが3.3倍増の180億円など。15年度中に減損会計の導入を済ませた新日石が，今年度からこれを導入した他社に比べ，抜きん出た利益額となったが，石油元売は規制緩和後の混乱を脱し，ようやく一定水準の利益を確保したといえる。 16年鹿通期も業績回復が見込まれているが，11月の原油急落と円高で，コスト上昇が続いた上期とは，コスト環境も一変しつつあるだけに，暖冬予測と合わせて予断を許さない展開となりそう。 原油高騰をマージン改善につなげた上期の実績を下期で台無しにしないよう，「量より質」の経営方針を貫きたいところだ。