需要回復！？まだ急増中の石油在庫

摘要

8月のNYMEXのWTIは67～75ドル／バーレルのレンジで動いた。現在の需給のファンダメンタルズからすると，明らかに高過ぎる展開となっている。石油需要は世界的に相変わらず弱く，これを反映して在庫は著しく高水準となっている。OPECの原油減産決定の遵守率は，4月以降70％前後であまり高いとはいえない。それでも「9月生産量に比べて420万バーレル／日の減産」という決定だから，300万バーレル／日程度の減産が続いているわけだ。しかし，EIAの“Short-Term Energy Outlook，September2009”（エネ短観）によれば，2009年第2四半期（Q2）の世界の石油需要は前年同期比300万バーレル／日の減少。つまり，OPECが減産しただけ需要が減退したのである。そればかりではない。OPECの減産には裏技け道があることは周知のとおり。原油は減産されてもNGLなど原油外の液体燃料は増産されている。一方，非OPECの原油生産は当初予想されたような前年割れではなく，2009年Q2には前年同期比30万バーレル／日の増産となったのである。これらだけをみても供給が需要を上回っており，在庫が積み上がっていくことは明らかなのだ。にもかかわらず，原油市況は70ドル／バーレル前後の高値を続けている。最近の国際石油市場動向を検証してみよう。