夏の油価高騰再び産燃油，需要減で値取り難航

摘要

今年も春先から上昇が続く原油市況。 ドバイ原油東京市況は7月月間平均値が69.55ドル／バーレルとなって昨年8月平均の68.90ドル／バーレルを上回り，史上最高値を更新した。 同様の高騰だった昨夏は8月中旬から反落したが，今年はまだ予断を許さない状況が続く。 原油コスト上昇で国内石油元売各社の月別仕切改定は3月から6カ月連続の値上げ打ち出しが続いており，その間の上げ幅累計は新日石のコストベースで14.1円／lに達し，昨年3～さ月の同社の上げ幅累計10.1円／lを4円／lも上回っている。 末端値取りは進んでいない。 ガソリンは8月からSS店頭で実売税込み140円／l超を目指す市況底上げとなってはいるが，7月の最安値は130円／l割れだった。 産業用中間三晶市場では税抜きで工灯が64円／l超，インタンク軽油が97円／l超程度をボトムとする値取りが続いているが，需要が低迷するA重油の大口安値はようやく60円／l台乗せが出てきたところで，灯·軽油と大きな格差を生じている。 市況低迷の大きな要因が需要不振で，A重油の需要は大寒波となった2005年12月の翌月分から延々18カ月も前年割れとなっており，今年3月分からはガソリンまでも前年割れが続いている。 油価高騰で燃転が進んで産燃油需要は減少し，ガソリンも節約や燃費の良いクルマへの買い替えが進んでいる。 これ以上の市況高騰は一段の石油離れを招くばかりという状況で，今夏の値取りも厳しいものとなりそうだが，地震で停止した柏崎刈羽原発の代替燃料需要はこれにどう影響してくるのだろうか。