粛々と進む石油製品値上げ焦点は産燃油未達問題に

摘要

原油価格の高騰は止まるところを知らず，NYMEX·WT）は10月に入り終値でも50ドル台が定着。 最高値は54ドルを超え，「60ドル原油」の噂も現実味を帯びてきた。これにつられ，中東産ドバイ原油も38～39ドルへと再上昇，8月以来の40ドル台を窺う気配となり，10月積み原油は前月から3ドル近く上昇する公算が強まってきた。 10月は小幅ながら久々の下げ改定となった元売月次仕切も，11月は再び上げ基調に戻り，SS業者や産燃油ディーラーは新たなコスト転嫁に追われることになりそうだ。 石油製品の末端市況は，4円絡みの値上げとなった9月仕切への対応で，9月から10月にかけて大きく上昇。 ガソリン店頭価格は税込み118～120円／ｌで安定し，今季民生用灯油は北日本のシーズン初値で前年を10円近く上回る税込み50円超の滑り出しをみせている。他方，産業用中間留分も2円を超える値上がりをみせたものの，納入側最低目標の「A重油39円，インタンク軽油73円，工灯41円」には1～2円の取残しを生じている。販売業者は需要家の内情に理解を示しながらも，未達先のもう一段の価格引き上げに最大限努力する方針。 今年年頭のテーマであった「量より質」への取り組みは，原油価格の記録的高騰という異常事態にあって，図らずも徹底されようとしている。