続·エポキシ樹脂CAS番号物語～硬化剤CAS番号備忘録第3回脂肪族ポリアミン系硬化剤（2）

摘要

表1にアルキルポリアミンで直鎖状のタイプを示す。表の上段に示す構造のアルキルポリアミンはプロピレンアミンと呼ばれることもあるが,一分子中に3個以上のアミノ基を持ち立体障害の無いことで反応性が高い。同じ数のアミノ基を持つポリエチレンポリアミン類（DETA,TETA）に比較してアミノ基間のメチレン数が増すので,硬化物のTgは低下するが柔軟性は増す（N3-amine,N4－amine,DPTA）。ただし,エポキシ樹脂との相溶性が多少異なるので留意する必要がある。表1の中段から下段にかけてはアルキルジアミン類を記載してある。その中でHMDA（Hexamethylenediamine）はエポキシ樹脂用に多く使用されている代表的な硬化剤で,二つのアミノ基間にある6個のメチレンにより架橘密度を下げ柔軟性を付与することができる。しかし,このアミノ基間の炭化水素骨格によりビスフェノールA型などのエポキシ樹脂との相溶性が低くなる傾向があり,室温で固形（融点：42℃）であることもあって,アダクトなどの変性をした後に硬化剤として使われることが多い。また,HMDAの2量体であるBHMT（融点：33～36℃）はHMDAの蒸留残漆から得られるものであり,HMDA同様に柔軟性の付与が可能である。また,このBHMT単体とは別に,様々な成分を含む粗BHMTであるBHMA amine（融点：32～34℃,BHMT含有量：25～82％）も市販されており,表2にその主な成分を示す。