Al合金平板のボルト締結部に発生·伝播する疲労き裂の超音波評価

摘要

深い切欠きを有するアルミニウム合金の疲労を行いながら，表面弾性波を用いた超音波測定を実施した。 表面弾性波は，試験片負荷方向に対してほぼ45°の方向から伝播させた。その結果，切欠き底からの反射波とともに，疲労き裂近傍から反射したと思われる散乱波が得られた。また，切欠き底をボルトで覆った状態で測定した場合であっても同様の散乱波が得られた。 散乱波の分布とき裂の伝播状況を比較した結果,散乱波の中心位置がほぼき裂の位置に対応した。散乱波は疲労き裂の周囲0.4mm程度の範囲で生じていることから，疲労き裂の伝播に際して形成される塑性変形領域であると推測された。 次いで，ボルト穴を有する平板の疲労試験を行って疲労き裂を生じさせ,超音波測定を行った。 その結果, ボルト穴からの反射波の他に疲労き裂からの信号を得た。