グローバル化に対応するプラスチック金型用鋼--I.プラスチック金型を取り巻く動向--1．プラスチック成形の技術動向

摘要

合成樹脂が発明されて工業的に実用化されてから約1世紀が経とうとしている。合成樹脂は、石油化学から生み出された天然には存在しえない素材であり、軽量で高強度、低コストで大量生産が可能で、熱や電気を遮断し、軟質で、透明な素材もあるという金属や木材、石やガラスとは性格の異なる新素材であった。その特性を活かして日用雑貨類や自動車部品、家電部品、医療用具、食品包装、建材等に世界中で大量に消費されるようになった。合成樹脂は、最初にフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂が開発され、次いでポリエチレン等の熱可塑性樹脂が開発された。今日では熱可塑性樹脂が需要量の90％近くを占めている。これまでの合成樹脂の原材料は、原油、天然ガス等であり、特に化石燃料を原料とした石油化学は高度経済成長のシンボリックな存在であり、耐久消費財の普及や使い捨て商品の登場によって合成樹脂の生産量も消費量も右肩上がりで推移を続けてきた。