クライアント側のフロー挙動に着目したアプリケーション識別手法の検討

摘要

通信の暗号化やポート番号可変などの秘匿性を高める機能を持つアプリケーションが増えてきている．特にWinnyに代表されるP2Pファイル共有ソフトは，情報漏洩やトラフィック圧迫などの問題を引き起している．クライアントに特別な検知ソフトを導入せず，傍受したパケットからそれらの通信を識別するには，パケットのペイロードやヘッダ情報に依存しない手法が必要である．そこで，筆者らはLAN内のクライアント側でのフロー挙動に着目したアプリケーション識別手法を提案した．この手法は，LAN外におけるパケットの遅延などの影響を受けず，アプリケーション固有の送受信特性がフロー挙動として現れるため，高い識別率が期待できる．しかし，挙動収集時の状況やクライアント周辺の環境によって識別率が低下する場合があった．そこで本報告では，クライアントの内部状態及びネットワーク上の識別率に影響する要因について検討し，手法の有効性を向上させた．