コミュニティ通信を支援するセキュアネットワーキングプラットフォーム(SPX)のアーキテクチャ設計

摘要

本稿では，インターネット上で発生しているフィッシング被害やスパム被害などのセキュリティ問題を解決するための要求条件をまとめ，この要求条件を満たすセキュアネットワーキングプラットフォームSPX (Secure networking Platform for group-oriented eXchange)のコミュニティ通信モデルおよびアーキテクチャを提案する．インターネットは，情報流通範囲の広域化と通信コストの低コスト化を実現している．しかし，インターネットでは，個人が保有する重要な個人情報を抽出されたり，予期せぬ相手から不適切な情報を多量に送付されたりといったセキュリティ問題が発生している．SPXでは，ネットワークの論理構造を目的毎のコミュニティに分割し，コミュニティ毎に閉域ネットワークを構築することで，不適切な情報の流通を遮断する．また，同一目的を保有するユーザ間でのコミュニティ生成環境を提供することで，悪意ユーザのコミュニティへの帰属を防止する．さらに，ユーザを複数のコミュニティに帰属可能としつつ，動的かつ柔軟にセキュアなコミュニティを生成することで，各ユーザの情報流通範囲が必要以上に制限されることを回避する．