航空機搭載二周波SARによる海面散乱断面積の風向依存性解析

摘要

合成開口レーダにより海上風ベクトルを計測する為には、海上風に対し異なる依存性を持つデータが2つ以上必要となる。 本研究では、航空機搭載二周波SAR（X-band及びL-band）による3方位からの海面観測データを用いて、散乱断面積および偏波比の風向依存性について解析を行った。 X-bandでは、平行偏波（HH偏波及びVV偏波）の散乱断面積は、風上風下比が異なるなど、風向依存性に相違が見られた。 一方、L-bandにおける散乱断面積の風向依存性に関する平行偏波間の違いはX-bandに比べ小さかった。 平行偏波間の偏波比はX-band，L-bandとも風向依存性を示したが、その変化量はX-bandの方が大きかった。 これらの結果は、X-band偏波SARを用いた海上風ベクトル計測の可能性を示唆している。