直接数値計算に基づく矩形旋回型乱流燃焼器内の熱音響モードに関する研究

摘要

現在，世界の一次エネルギーの約80%，日本の一次エネルギーの約90%は化石燃料の燃焼により供給されている．気候変動枠組条約第21回締約国会議で採択されたパリ協定では，二酸化炭素排出量の大幅な削減が目標に掲げられている．この目標を達成するとともに，地球環境問題を解決するには，次世代の高効率·低環境負荷燃焼器の開発が必要不可欠である．産業用ガスタービン燃焼器では，燃焼器出口温度を上昇させて高効率化を図り，さらにコンバインド·サイクルを導入することで，現今では発電効率が60%を超えるガスタービンが開発されつつある．一方，Thermal NOの生成速度は高温状態において急激に上昇するため，既燃ガス温度を均一化することが可能な希薄予混合燃焼を採用することが有効である．しかし，希薄予混合燃焼では，燃焼振動が発生し，騒音や燃焼器の機械的破壊を引き起こす場合がある．このため，希薄予混合燃焼を採用した高効率·低環境負荷燃焼器を実現するには燃焼振動現象を解明し，その知見に基づいた燃焼器開発を行うことが必要である．