音響管を用いた音響学·音声科学の教育

摘要

人間の声道を模した音響管を用いて，音響学ならびに音声科学の基礎に触れる．声道模型を用いることで通常は見えない声道が可視化されるのみならず，音声科学の基礎となる様々な側面，例えば音源フィルタ理論や，声道形状と母音の質の関係を直感的に理解することが可能となる．またスライド式3音響管では，その単純な構造から子どもを対象にした科学教室等にて工作を体験することができる．さらに，母音の低次フォルマント周波数の近似値を簡単に推定することが可能であり，実測値と比較することで理論を理解する助けにもなる．実際に大学の講義でこのような音響管による声道模型を用いた結果，その教育的な効果が確認された．