実在街区における風解析と波動伝搬解析の連成予測

摘要

環境騒音をとりまく社会の目が厳しさを増す中，屋外における音響伝搬のより高精度な予測手法が求められている。この目的には従来，ASJRTN-Model のようなマクロモデルが用いられて来たが，数値解析技術および計算機技術の急速な発展により，波動音響数値解析の適用が現実的な選択肢となりつつある。ただし，実際の地域環境における波動音響学的な音響伝搬予測の方法論の構築には，以下が課題として挙げられる。1．気流，温度勾配などによる音響伝搬特性の変化（気象影響）の考慮。2．数値解析への入力データとなる街区形状の生成。本稿では，2節および3節で上記2点の課題解決のための手法を概説し，4節以降でそれらの手法の適用事例を紹介する。