原子力知識マネジメント21世紀の課題

摘要

それは約20年前，コンピュータの急速な発達と小型化からパーソナル化の時代が幕を開けたころのことです。 情報管理の世界に革新が起ったのです。情報管理の基礎は，蓄積された情報や知識のデータベース化にありました。 これに検索システムを組み合わせることで，知識のナビゲーションから知識管理への途が拓けたのです。 ここ数年，国際原子力機関(IAEA)などで，原子力をめぐる「知識マネジメント」興隆の兆しがあります。 これをNuclear Knowledge Management（原子力知識マネジメント）と呼びます。 これは，従来の情報管理や知識管理とはやや趣を異にするようです。 単なる情報や知識の集積と管理を越えたところに何があるのでしょうか？ それはどうももう少し広範な“知的活動のマネジメント”を目指しているようなのです。そこに新たな“知財”が生まれるというのです。 なにか新たな価値が生まれるのではないかという期待があるのです。 この知財は，オープンで関心ある者が等しくアクセスできるようなものです。 つまり，ネットワーク上に解放されるのです。 では，そのような知財が生まれるに至った経緯や思想的背景はなにだったのか。 また，この「原子力知識マネジメント」が今後どこに向かおうとしているのか。 これらを，アンドレ·メイシュウ氏が解説します。 氏はWONUC (World Nuclear Workers Council)を統括している立場から，原子力従事者の現場をよく知っています。そして，原子力知識マネジメントの重要性にいち早く注目し，2004年に学術誌(International Journal of Nuclear Knowledge Management)を創刊しました。 知識マネジメントには，20世紀型の産業技術重視社会から，21世紀型の知識重視社会を拓く鍵があるのかも知れない。 「世界の発展にはエネルギーが欠かせない。 また，同時に温室効果ガスの排出は抑制しなければならない。これら二つの要求を同時に満たすシステムとして，原子力が大きな可能性を持っていることはいうまでもない。 新浴比护韦长趣胜椋饯韦瑜Δ试恿Δ违荪匹螗伐悭毪颥F実に役立たせるには，適切な人材を今後も確保していくことが必要である。 これから先数十年間に原子力の需要が拡大するか否かに関わらず，既存の設備の安全運転や廃止措置においては，原子力分野の科学技術能力を維持し，明らかに優位である原子力を利用し続けることが欠かせない。 」「原子力知識マネジメントには，以下のことが盛り込まれる。 それは，原子力従事者の後継者の育成，安全確保における過去の成功事例を巧く適用していくこと，そして過去60年間に積み上げてきた原子力知識を活かしていくことである。 」