現場における給排水設備騒音の測定方法

摘要

住宅の高層マンション化·生活様態の多様化に伴い，給排水設備による生活騒音が，近隣の人間関係あるいは生活者の生活形態に影響を及ぼしている。 生活に不可欠な人間行為に伴う給排水騒音について，その大きさの程度を定量化するための測定方法は，国際規格では制定されているが，国内ではJISをはじめとして標準化された規格·基準は制定されていない。一方，実験室において，給水器具市販品の発生音を比較することを目的とした測定法は，日本工業規格として制定されている。 しかしながら，この方法は，供試給水器具発生音の測定結果を，標準水流音発生器の発生音と比較する方法を採用しており，実際に施工された状態における給水体系としての騒音を測定する方法ではない。 このため，財団法人建材試験センター(JTCCM)/財団法人日本規格協会(JSA)から，工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり，ISO 16032:2004を基礎に，給排水設備だけを対象に整合化して，規格の作成作業を進め，JIS案「建築物の現場における給排水設備騒音の測定方法」（現在日本工業標準調査会で審議中）が作成された。 本稿では，このJIS案に規定された測定方法の概要を紹介するとともに，今後検討していく必要があると思われる項目について述べる。