原子力と社会 第Ⅳ部原子力教育における諸課題

摘要

近年，原子力の人材問題がクローズアップされている。 原子力産業の縮小や原子力関係機関の事故，事件など原子力を巡る諸状況の中で，大学原子力工学科が姿を消す等，今後の原子力技術を担う人材の減少が危倶されている現象が起こっている。 私学における原子力教育の学科，専攻は2002（平成14）年度をもって姿を消した。 国立大学の原子力教育も2004年度から始まる法人化によってますます厳しい環境になるものと予想されている。 原子力の教育人材育成問題は当然の幸ながらひとり大学の問題ではなく，国の政策，原子力の研究開発体制，企業の経済活動環境，大学の教育行政，等々が深く絡まっている。 本稿では，原子力の教育と人材育成の多くの問題の中で特に存続がかかる国立大学の原子力教育に焦点をあてたい。