冷凍空調システム技術の応用展開：宇宙空間における生命維持と空調

摘要

1990年から研究·開発が始まった，日本初の長期大型有人宇宙設備である「きぼう」は，2008年から2009 年にかけての3回の分割打上げ·組立てによりその完成を見，軌道上で現在運用中である．「きぼう」に関しては，日本初の有人宇宙構造物であることから，これまで数多くの発表がなされていることを踏まえ，本稿では，まず，有人宇宙における生命も維持の観点から，「きはう」の生命維持系に関する目的と構成について整理するとともに，これまで開発された米ロの宇宙ステーションとの性能比較を行う．さらに，「きぼう」の開発において生じた按術的課題とその解決策について説明し，最後に，日本の将来有人宇宙開発の候補とされる有人宇宙船や月面拠点における空調を含む生命維持系について論じる．