ダム工事 新技術、環境からみて①：長沼ダム（長沼水門）の汚泥処理について－ボンテラン工法による地中連続壁の汚泥再生利用

摘要

長沼ダムは、宮城県北部に位置する長沼の東端部に築造するアースフィルダムであり、北上川水系迫川の洪水調節と、周辺耕地への既得用水の補給、長沼川への河川維持流量補給などの流水の正常な機能の維持、さらには長沼の湖面を有効利用（漕艇場）することを目的とした多目的ダムである。長沼水門はダムの左岸部に位置し、洪水の貯留および放流を制御する目的で設置される。 水門の基礎工法は厚さ1.8mの地中連続壁基礎工法が採用されていた。この地中連続壁工事の施工において発生する汚泥は、産業廃棄物となるため、処分方法としては約75km離れた管理型最終処分場へ埋め立てすることとなっていた。しかし、宮城県では処分場の容量が逼迫していることや、環境保全を推進することなどの目的で「宮城県建設汚泥再生利用指針」を平成15年11月に制定した。 当現場においてもその趣旨に基づきリサイクルすることを選択した。 当報告書は建設汚泥のリサイクルにおいて、「宮城県建設汚泥再生利用指針」の最初の適用として、実施にいたるまでの発注者および環境部局との協議や、技術的な問題の解決、安全性の確認を行った経緯を記したものである。 汚泥の総数量は約22,000m{sup}3であった。