三峡ダムプロジェクト 回想（その2）：大型ダムゲート開閉用油圧装置などの受注活動から納入引渡しまで

摘要

本項では前項に引続き、この物件の見積書作成から受注契約までを述べる。当社の属する業界では、油圧装置（いわゆる油圧ユニット）類の見積、受注契約は、ユーザー側から設計図面（回由図、部品リストと組立図など）資料が提供され、メーカー側はこれに沿って見積もり（時には合理化提案を盛り込んで見積もる）、受注したときは、これを自社図面に展開して製作納入するのが一般的である。これら提供図面資料は、メーカーの設計部門又は設計研究院に委託して作成されたものである。国家プロジェクトである、三峡ダムプロジェクトでは、ユーザー側から技術要求仕様が含まれた入札仕様書が出され、応札メーカーは、この仕様要求に沿って、設計計算書、使用組込み機器選定部品リスト、回路図、組立図等の見積設計資料を作成し、これに価格見積を加えた応札見積仕様書の提出が求められた。貴重な体験であり、中国市場における見積作業の参考になればと、その経過を紹介する。