クレーンにおける感電災害と防止対策（1）－労働職場における感電災害の現状と感電時の人体反応

摘要

クレーンにおける感電災害には，大きく二通りのケースが考えられる。一つは，移動式クレーンがブームの起伏，旋回等の作動中に近くの高圧配電線や送電線に接触又は接近し過ぎて，クレーンブームやワイヤロープ等が充電され，大地に立ってクレーン車体やつり荷に触れていたクレーンオペレータや玉掛け作業者が感電するケース，もう一つは，天井走行クレーンの点検修理等で作業員が200V程度のトロリー線（接触摺動電線）や配電盤内の充電部に誤って接触して感電するケースである。ここでは，これら二通りの感電発生のケースを想定して，感電災害とその防止対策について述べる。まず，今回は，わが国の全労働職場における感電災害の現状，クレーンで発生した感電災害の状況，及び感電時の人体反応やその限界を紹介する。