事例でみる生産の合理化（解説記事14）思考作業の合理化改善（続き②）

摘要

思考作業の合理化改善に対する取組み方の概要については1月号の［解説記事12］で述べたが，実施にあたっては改善計画をたててみる必要がある．何事によらず計画的に仕事を進めるということはきわめて大切なことであるが，ここでいう改善計画は，何か行事を行うときのプランのような-時的なものではなく，設計者1人ひとりが長期に取り組まなければならない課題である．ここで提案した課題の内容は，［解説記事12］の図1で示した機械各部の運動解析である．解析にはモデル化とシミュレーションという方法が用いられ，解析結果で得られた数値を判断の基準として設計図面が作成される．構想図の段階からここまでの一連の作業が思考作業である．したがって設計業務の大部分の過程は思考作業である．すなわち設計というのは「考える」ということが仕事なのである．その仕事の合理化改善は，機械の合理化改善のように自動化しそ作業人員を減らすとか，生産量を上げるとかいったことではなく，それを実現する根元になる，どうやったら人員を削減できるか，どうやったら生産量が上げられるかを考えることが仕事の主体になる．考えを引き出すためには創造性が要求され，工学的知識が必要である．