弾塑性力学（98）－固体の非可逆力学現象の支配法則：下負荷面モデルの巌密な定式化 その1

摘要

本連載を2007年6月に始めて8年が経過し，さらに3回重ねれば100回に達するが，それをもって本連載を終了する予定である．弾塑性構成式の集大成とみなし得る下負荷面モデルを1977年に提案（Hashiguchi and Ueno，1977）して以来，40年近くが経過しているが，その間，定式化の修正が繰り返され，ようやく厳密な定式化が完成されるに至った．特に，非線形移動硬化則，弾性核つまり正規降伏面と下負荷面の相似中心の移動則，Masing則の表現，繰返し等方非硬化停滞現象，乗算分解有限変形論の定式化等々を巡って，たびたび修正が重ねられてきた．具体的定式化については示していないが，厳密な定式化が完成に至るまでの紆余曲折の道程については，回想録（橋口，2014，2015）を一読頂ければ幸いである．本連載の最後に，本モデルの厳密な定式化について解説することをもって本連載の締括りとしたい．