現場に役立つ油剤技術の話（第10回） 水溶性切削油剤の安全·環境対策(II)

摘要

数年前，切削油剤は廃液が出るので環境負荷が大きいという理由でドライ加工やセミドライ加工が注目されたことがあった．その後，いろいろな取り組みが行われているが，ドライ加工やセミドライ加工が切削油剤を用いた加工に取って代わることは不可能であることが判明した．そもそもドライ加工は，寸法精度や仕上げ面精度が要求されない能率加工では昔から行われており，加工の一翼を担っていた．しかし，鋳鉄のように被削性の良い材質の加工では昔はドライで加工されていたが，多量の粉塵が発生し塵肺の恐れがあるため最近では切削油剤が使用されるようになった加工もある．今後，工具が進歩していけばドライ加工，セミドライ加工の領域が広がっていくと思われるが，その前に解決すべき問題も生じている．