環境波を用いたバックスキャッタ通信のための通信手法

摘要

RFID（Radio Frequency Identification）においてバックスキャッタ通信が用いられる．バックスキャッタ通信は，受信者であるリーダと送信者であるタグとの間の無線通信技術である．バッテリレスを前提としたバックスキャッタ通信にはデータ伝送を行うための搬送波をタグに伝送するリーダが必要である．近年，搬送波に環境波を用いたバックスキャッタ通信（Ambient Backscatter）が注目されている．Ambient Backscatterは，バックスキャッタ通信の搬送波としてテレビ放送やWi-Fi等の環境波を用いることで，リーダが搬送波を発生させなくても通信が可能になる．しかし，搬送波に環境波を用いると伝送距離が制限されるという問題がある．そこで本研究では，伝送距離の延長を目的とした環境波を用いたバックスキャッタ通信のためのデータ伝送手法を提案する．提案手法では，データ送信を共有フェーズと送信フェーズの二つのフェーズに分けて行う．共有フェーズでは送信データを複数のタグで共有する．送信フェーズでは，データ共有を行ったタグが共有したデータを一斉に送信する．提案手法をシミュレーションにより評価し，伝送距離延長効果があることを示す．