AHPを用いたデータセンタネットワーク設計

摘要

近年，動画等の大容量コンテンツ配信サービスの需要が急増している．また情報処理サービスをネットワーク（NW）経由で提供するクラウドコンピューティングの利用が急速に拡大している．ISPは，高品質·高信頼なサービスを低コストで提供できるよう，インフラとなるデータセンタNWのトポロジやデータセンタ（DC）配置を適切に設計する必要がある．しかしNWトポロジやDC配置は，コスト，パス長，信頼性，等に多大な影響を与えることから，設計時にはこれら単位の異なる様々な評価尺度を同時に考慮する必要がある．筆者は以前，意思決定において関連する要素を階層構造で把握し合理的な意思決定を行う手法として知られるAHP（Analytic Hierarchy Process）をNWトポロジ評価に適用した．本稿では，AHPを用いてNWトポロジとDC配置の両方を同時に評価することでDC-NWを設計することを提案する．また日米欧の三つの地域を対象にAHPを用いたDC-NWの設計例を示し，その傾向について分析する．