溶銑脱硫インペラー用流し込み材の耐用性改良

摘要

脱硫インペラー材として，アルミナセメントを適度に増量し高強度化し剥離しにくくした材質を使用してきたが，剥離による羽根部の損耗量から予測できない時期に，芯金まで至る大き裂の発生が頻発した。 使用中に焼結が進み弾性率が高くなり熱応力が増加し，き裂が成長したことと，高強度のため徐々に剥離せず疲労限界に達して，突然割れるものと推測した。 この問題を解決するため，下記の対策を講じて，安定操業が可能な改良材を開発できた。 1）改良の第1段階として、稼働中の焼結を遅らせるため、アルミナセメントを含む微粉量を低減させ，膨張性原料も半減することにより，1400℃熱処理後も，従来材より低弾性率，かつ，容積安定性に優れた材質S1が得られた。 S1は剥離損耗型であることが実模試験で確認でき，予嘲できない時期に発生していた芯金まで至る大き裂の発生才ま防止できた。 2）第2段階として、S1より剥離速度度を小さくし，羽根の側面部の剥離を防止するため，膨張性原料を除き強度豪ある程度増し，稼働中の破壊敵性を上げるためワイヤーをスチール製から耐酸化性に優れるステンレス製に変えたS2を開発した。 S2は1300℃熱処理後の破壊エネルギーがS1より大きいことが確認できた。 実機試験の結果，S1で得られた効果に加え，S1の問題点であった羽根側面部の剥離も防止できた。 インベラーの寿命のバラツキが少なく，安定操業できる材料とすることができた。