岩国-柳井地域の領家帯

摘要

私が当地城の領家帯を初めて見学したのは1952年,本格的な研究を始めたのが1955年であったから,私はすでに半世紀に亙って当地威と因縁がある.その間,私は絶えず当地域を研究してきたがけではないが，しばしば，国内や外国のお客さんを当地城へ案内する役目を負わされることになった。 案内者が不勉強ではお客さんと討論も出来ない。 私は，自分の興味も深まって，1995年に岡山大学を退職するまで，瀬戸内海地域の領家帯を折に触れて調査してきた．結局，私は瀬戸内海地域には2つの異なる地質体を起源とする片麻岩がある，という結論を得た（濡木，1995）．ご存知のように，領家苛は中央構造線の北側に沿つて，中部地方から山口県·愛媛県までほぼ東西に延び，総延長約700km，幅約40km，低圧·高温型変成岩と圧倒的に多量の花崗岩からなる複合岩帯である．領家帯のうち，中部·近畿·山口県東部の諸地域には変成岩がある程度まとまって分布しているので，これらの諸地域は早くから研究されてきている．私は，残念ながら，中部·近畿地方の領家帯を詳しくは知らないので，この小論では瀬戸内海地域の領家帯の枠内で，岩国一柳井地域の領家帯の特徴を紹介しようと思う．この瀬戸内海地域領家帯の特徴が領家帯全体へ演繹できるかどうか，将来の議論を待ちたい．