二酸化炭素地中隔離:国際動向と課題

摘要

地中隔離に関して，国際的な動向と実現に向けての課題を整理した．この技術がCO_2の排出削減を比較的短期間で実現できる重要な手法であることについては国際的な合意が形成され，積極的に進める方向で枠組みの策定が進んでいる段階であるといえる．特に，EORとして実施される地中隔離と油ガス田から排出される随伴ガスを再庄人することについては，すでに実用化段階であるといえる．欧州では排出削減を実施する具体的手段として，EU及び国ごとの研究開発が進められている他，排出権取引の仕組みの整備も行われている。米国は，京都議定書とは独立した独自の排出削減戦略の中でCCSを重要な課題と位置づけ，CSLFの主導，地域パートナーシップ，FutureGenなどで地中隔離の実現を目指している．また，今後排出量が増大するであろう中国やインドを巻き込むパートナーシップの合意がなされている．今後の課題としては，法規制の整備，長期·短期の漏洩リスクの低減とリスクアセスメント及びマネージメント，実現に向けたビジネスとしての仕組みの整備などが挙げられる。これらの課題の解決を通じて地中隔離を社会に受け入れられる技術とするための研究開発と検討が早急に必要とされている．