ゴムの二軸引張り試験における公称応力·ひずみの簡易計算法

摘要

しかし，これらの実際の材料試験では，特に二軸試験においては，チャックつかみ部の影響により，試験片全域で一様な変形状態を再現することが難しい．この事から，計測目的である材料固有の応力－ひずみ関係を得るためには，その導出方法が問題となる．現在では，試験片の断面積をチャックつかみ部のみを厚くするなどの工夫が見られるものの，実用的にはシート状の試験片で計測できるのが望ましい．さらにこの種の問題については，JISやASTMなどの規格化は未だに確立されておらず，実験と数値計算の両面から詳細に行った報告はあまり見られないのが現状である．本研究では，実用面で利用が容易なシート状のゴム試験片を対象として，二軸試験によって得られた「引張り荷重」と「引張り変位」の計測結果から「公称応力」と「公称ひずみ」を算出する簡易計算式を提案する．本式は前述のつかみ部の影響を考慮した計算方法であり，さらに実務面での運用に支障をきたさないように，単純かつ精度に優れる方法を目指して構築した．そして，非圧縮性を考慮したOgdenモデルのFEM解析を用いて，本計算法の有効性を数種の例題より確認した．さらに，実験結果にも適用をして有効性を確認した．