斜めスリット振動変換器を用いた超音波複合振動溶接装置の振動特性の検討

摘要

超音波複合振動は超音波溶接等をはじめ殆ど強力超音波応用に極めて有効である。先に複合振動変換器を用いた超音波シーム溶接装置を用いて、各種の板厚が比較的大な金属板のシーム溶接が可能である事を示してきた。 この超音波シーム溶接装置は斜めスリット複合振動変換器を用いており、一軸構成の縦振動源のみで駆動される。斜めスリット複合振動変換器は従来、変換器表面部に深さ一定のねじり振動変換用斜めスリットを加工し、変換器内部に縦振動を通過させるために未加工部を設け、変換器先端部で楕円から円形振動軌跡を得ている。 スリット数を減少させるために、斜めスリットを貫通させてスリット間隔を拡げスリット間を縦振動が通過し、また斜めスリット部でねじり振動を励振する構造とした。 斜めスリット数は貫通スリットを用いることにより従来の18～24本程度から5～8本程度に減少する。 19kHzおよび27kHz用の貫通斜めスリットを用いた複合振動変換器の縦－ねじり振動変換特性をFEM等を用いて再検討し、超音波複合振動連続シーム溶接装置を構成し、振動軌跡、振動特性および溶接特性について検討した。 複合振動変換器の材質として鉄鋼(SK-4)、ステンレス鋼(SUS304B)を用いて超音波シーム溶接装置を構成し、振動特性について検討した。 また、溶接作業領域を拡げるために複合振動変換器の先端部に1/2波長の長さの複合振動曲げ溶接チップをねじ接合した19kHzの超音波複合曲げ振動溶接装置を構成し、斜めスリット複合振動変換器を縦振動源で駆動して振動特性、溶接チップ部振動軌跡等について検討した。