船舶起源PMの低減－生成機構の解明と低減の指針

摘要

本研究では，まず，自動車等に用いられている小型高速機関と中·大型船舶に用いられている大型低速機関から排出されるPMの出力·時間当たりの排出量（PM排出率［g/kWh］）と成分（Soot，SOF, Sulfate）の違いを明らかにするとともにその結果を解析し，これらの機関から排出されるPM生成機構の違いについての考察を行った．次に，特別に作製したフィルタ方式のモデルDPFを小型高速機関と大型低速機関の排気管と希釈トンネルの間に設置し，フィルタ方式DPFによって低減できるPMの成分を明らかにする実験を行った．更に，これらの結果を基に，船舶の航行時における抵抗と推進に関する理論を用いて，海上輸送における船舶起源PM低減の指針を示すとともに，実船実験によりこれを検証した．その結果，DPFを設置することにより，船舶の運航時におけるPM排出量を大幅に低減できること．これに加えて，使用燃料油や船舶の推進性能に関する要素を含めた総合的な検討を行なうことにより，更に効果的な低減が可能となることなどを示した．