減速運航の実態－減速運航の課題·対策及びその実績

摘要

2008年のリーマンショック以降，市況の低迷と燃料価格の慢性的な高止まりを契機にコンテナ船で出力10％程度の低負荷域での減速運航を始め，その後，他の船種(LNG船除く）にも拡大してきている．減速運航は燃料消費抑制の即効薬ではあるが主機はおよそ出力の85％付近の高い出力と回転数で最も効率よく連続運転できるように設計されているため，長期間にわたり減速運航することは主機及び機関プラントに悪影響を及ぼす可能性があった．このため減速運航に対する課題（リスク）を慎重に洗い出し，ハード（設備改造含）とソフト（運用）の両面から対策を施した上で減速運航を実施している．他方，主機メーカーは2009年頃から減速運航に関するガイドラインを順次リリースしている．減速運航が拡大·深度化される中，安全運航を最優先事項として減速運航への取り組みを紹介する．