国立清水海上技術短期大学校における機関シミュレータの導入と授業における活用

摘要

本稿では機関シミュレータの導入経緯と授業での活用について述べたが，シミュレータを行う上で最も大切なのは，ゲーム感覚で取組むのではなく，実際に乗船し，機関部として機器を操作しなくてはならないというようなシチュエーションを思い浮かべることができるかどうかということである．同じ操作をしていても手順通りに漠然とこなすのと，それらの機器を扱っている場面を想像できるのとでは成果に大きく影響するように思われる．経験に乏しい学生にとって実際の場面を想像するのは容易ではないが，このようなトレーニングを重ねて，通常のプラントオペレーションを理解していくことにより，作業手順を理解，習得するには十分有効と思われる．しかし，異常時あるいは緊急時のプラントオペレーションの訓練としては今のトレーニングでは十分ではない．それを行うにはまず機関プラント全体を理解することが必要であり，それには多大な時間が必要となる．限られた時間の中で少しでも多くのメニューをこなそうとすれば説明が雑になってしまうことや，学生が理解しないうちに操作をしてしまうこともあり，学生本位ではなくなってしまう．どのようにして異常時あるいは緊急時におけるプラントオペレーションの訓練を授業に組み込んで実行していくか，またビルジ処理，スートブローなど定常作業をトレーニングしていくかが即戦力性を高める鍵であり，今後の重要な課題である．