リチウム二次電池用黒鉛負極の表面修飾と電極特性

摘要

また，天然黒鉛と易黒鉛化性炭素の高温熱処理によって得られる人造黒鉛ではその表面構造が異なる場合がある．このように炭素負極の表面構造は有機溶媒の分解によるSEIの生成やLi~＋イオンの電気化学的挿入·脱離に大きな影響を与えるので，表面構造制御は重要な研究課題となる．炭素材料の負極特性改善を目的とした表面修飾法としては表面酸化，表面フッ素化，金属や金属酸化物のコーティング，炭素コーティングなどが報告されている．表面フッ素化にはフッ素ガス（F_2），三フッ化塩素（ClF_3），三フッ化窒素（NF_3）などのフッ素化ガスやプラズマフッ素化法が用いられる．フッ素化反応は激しい酸化反応で，高結晶性黒鉛の表面構造変化を行うのに適している．本総説においてはフッ素化反応を利用したリチウム二次電池用黒鉛負極の電極特性の向上に関する最近の研究結果について述べる．